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メビウスの設計・製造と組立 ②設計・組立

2023年6月末、福島RDMセンターの開所式に向けて製作されたメビウスのオブジェのプロジェクトをデザイン&ファブリケーション&ビルドの側面から振り返ります。



前書き

これまで會澤社ではCybe社のロボットアーム型3DコンクリートプリンターCybeRobotCrawlerとスライサーソフトCybeChyselを用いて印刷物を製作していたが、このスライサーにはいくつかの制約があった。本プロジェクトではその形状・製造・工法上の理由により平行でない印刷経路の設計や印刷パスのカスタマイズを行う必要があり、このスライサーソフトでは対応不可能であったため従前と異なる方法でロボット動作を生成することになった。その結果、本プロジェクトは福島RDMセンター開所を記念するオブジェになると同時に、會澤社における初めてのパラメトリックロボット制御の成果品として位置づけられるものとなった。

 

設計と組立計画

1. 鉄板入り3DCP部材設計

a. 鉄板

ブリッジ部分の3DCP部材は印刷コンクリートの外殻を鋼管に取り付けるために印刷中に鉄板を埋め込んで製作されました。5月中旬に製作したテスト部材と同様に上下から5層目に鉄板を埋込むことにしました(a)。5層目の位置をもとに鉄板の輪郭形状を確定したのち、鋼管を通すための開口及びコンクリートとの付着を高めるためのジグザグを追加して加工業者に製作していただきました(b)。印刷の過程で印刷物の上に鉄板を配置できるように、配置のタイミングでノズルを退避させる経路を設計しました(c)。この鉄板入り部材の設計・製造においては同済大学CAUPの事例*を参照しています。

印刷経路設計では開始と終了時の往復に加えて鉄板2枚設置のための2往復を追加

2. 鋼管


プレート位置をもとに固定用ボルトのためのタップ位置を決定

2. 組立方法検討

a. 架台設計(主に高さ、工具サイズ検討)

ブリッジ部分の底面形状の複雑さから、組立用の架台は合板を3DPピース形状に合わせて切り出して作る合板ワッフル構造としました。架台高さの決定には ①鋼管にピースを通せるように鋼管端部を600mm程度持ち上げなければならないこと ②架台に使用する合板を歩留りよく使うこと の2点を考慮し、ワッフルのグリッドサイズはインパクトドライバーを使ってL型金物を取り付けられる余裕のある大きさとしました。

端部の部材は高さがあるため鋼管端部と床の間にそれなりの隙間が必要

b.組立計画

まずブリッジ部分を組立て、ベンチ部分を後から設置する。ブリッジ部分の各ピースは鋼管に乗っており、移動防止のために鋼管にタップを切りM12ボルトを後付けする。ブリッジ部分のピースが全て鋼管に固定されたのち、架台ごと設置高さまで降下させてジャッキを効かせた状態でガセットプレートに溶接し、その後架台を回転しながら抜いて完成する。ベンチ部分のソファに隣接するピースはソファ端部に固定される。

ブリッジの組立1
ブリッジの組立2

組立



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