一級建築士事務所ADAACではVFXソフトであるHoudiniが活用されています。
建設業界ではRhinocerosやAutodeskシリーズを使用することが多いのですが、なぜADAACはHoudiniを点群の解析に使うのでしょうか。
言葉を並べる前に、まずは私たちがHoudiniで作ったデータを見てみましょう。
C3DP(コンクリート3Dプリンターを使った壁の解析)
ADAACが設計を手掛ける福島RDMセンターの一部にはコンクリートで作る3DPが利用されています。
https://www.aizawa-c3dp.com/ (會澤高圧コンクリート株式会社コンクリート3DP特設ページ)
3DPは型枠を必要とせず、飛躍的に現場の施工スピードを上げる重要な製造方法ですが、本当に正しく作られているのかを知るのは「すべてが完成してから」なのです。
そこで、私たちは3DPで出来上がった製品の点群を取得し解析をしました。
Houdiniで解析することで左右の高さが3㎜違うことが分かりました。
このことにより、3DPで作られた製品は製品合格ラインに沿っていることが
証明されたのです。
C3DP設置後の壁の解析)
次に私たちはこの壁を設置した後についても解析しました。
これは3DPで作られた製品がまっすぐと建てられているか、そしてその間にくる冊子が綺麗に入るかという2つの検証を行いました。
まずは3DPの壁が規定通りの高さに設置されたか、また水平に設置されていたかという判定です。こちらに関しては問題なくクリアしました。
次に傾きです。建て方が行われたときに傾いて設置されていないかを見ています。
図にあるように傾きが20mmあることが分かりました。
これにより、冊子が入らない恐れがあります。
下記図はヒートマップで重なりが強い位置を表示したものになります。
赤枠で囲っている個所が冊子と重なり赤く表示されているのが分かります。
これまで私たちはソフトの範囲内の中で決められた解析方法をアレンジする又は、プラグインを活用することで点群の解析を行ってきました。
しかし、その方法には限界があるほか「何をどのようにして解析したのかわからない」という属人化の問題を含んでいました。
VFXソフトとして誕生したHoudiniはprocedural(手続き的)な方法で、かつ自由な設計で様々な表現をすることができます。型にはまらない方法で建設現場のDigitalclone化を進めるためにHoudiniは大いに活躍しています。
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